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低用量ピル・アフターピル・月経移動ピル

避妊用ピル(OC)

避妊用 低用量ピル(OC)とは?

経口避妊薬であり、OC(Oral Contraceptives)と呼ばれることもあります。正しく服用することで安全で確実な避妊効果を得られる最低限の女性ホルモンを配合することで、副作用が起こりにくくなっています。
ホルモンバランスを調整して排卵・受精・着床に対する避妊効果を得られます。また、月経周期を一定にして生理に伴う症状の軽減効果も期待できます。

作用と効果

排卵の抑制

卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑えられ、排卵を起こらないようにします。

精子の子宮内進入の抑止

子宮の入口である子宮頚管の粘液が変化し、精子が子宮に侵入しにくくなります。

受精卵着床の抑止

子宮内膜が十分に厚くならず、排卵が起こっても着床しにくくなります。
服用を中止するとこうした避妊効果はなくなります。ピルを服用していても卵巣機能の低下を起こすことはなく、将来の不妊リスクに影響することはありません。

費用

2,750~3,300円/月

服用のポイント

  • 最初の1シートは、基本的に生理3日目からの服用開始をおすすめします。避妊効果は服用の初日から得られます。生理5日目までであれば服用を開始できます。
  • 服用は1日1回1錠であり、毎日行います。
  • 毎日、できるだけ同じ時間帯に服用してください。3~4時間ずれても問題ありませんが、決まった時間に服用する習慣をつけると飲み忘れを防止できます。スマートフォンのアラームなどを利用することも効果的です。
  • 正確に服用を続けることで99.7%という高い避妊効果を得られます。

  • 初回の処方は1か月分となっています。

ピル(OC)服用の流れ

1受診

問診、血圧測定などを行い、問題がなければ1か月分のOCが処方されます。

21か月後

問診で状態などについて丁寧に伺って薬が合っているかを判断します。

飲み忘れ&注意事項

  • 1錠(1日)飲み忘れた場合は、翌日にその分を含めた2錠を服用します。
  • 2日間以上連続して飲み忘れた場合、避妊の確実性が失われてしまいますので、ピルの服用を中止してコンドームなどで避妊してください。その後、通常の生理のような出血がありましたら妊娠していないことが分かりますので、そこから5日以内に新しいシートでピルの服用の開始が可能になります。生理があったかどうか判断に迷う場合は、ご相談ください。

副作用

吐き気・頭痛・眠気・むくみ・胸の張り

服用開始後に生じやすいとされていますが、生じた場合も1~2週間経過するとほとんどの場合は改善しますので服用を続けてください。

不正出血

服用開始後の1~2か月は、生理周期に関係のない不正出血を起こすことがあります。そのまま服用を続け、毎日服用していれば避妊効果を得られます。なお、2週間以上不正出血が続く場合などは処方の変更を検討しますのでご相談ください。

血栓症について

ピルの服用による重篤な副作用に、血栓症があります。血栓症は血管の中に血液の塊ができてしまい、それが血管に詰まって血液の流れを止めて、深刻な疾患を起こす可能性があります。ただし、低用量のOCでは含まれるホルモン量が微量であることから、基礎疾患がなく、肥満や喫煙習慣がなければそれほど心配する必要はありません。重要なことはリスクと効果をしっかり理解し、異常の徴候について正しい知識をもち、万が一の場合に備えることです。安心感をもって服用を続けるためにも、下記のような血栓症の徴候をしっかり覚えておき、疑わしい場合にはすぐに受診できるようにしておきましょう。

血栓症の徴候

  • ふくらはぎのむくみや痛み
  • 手足のしびれ
  • 押しつぶされるような痛み
  • 圧迫されるような強い胸の痛み
  • 動悸、息切れ、息苦しさ
  • めまい、激しい頭痛、目のかすみ、舌のもつれ

よくある質問

ピルの服用で、将来の妊娠に影響しませんか?

OCの服用で卵巣の機能が低下することはなく、将来妊娠しにくくなることはありません。また、服用によって将来の妊娠で赤ちゃんに影響が及ぶこともありません。 低用量ピルは、服用を中止すると、ほとんどの場合は1~3か月以内に排卵が起こって妊娠が可能な状態になります。低用量ピルの服用によって生理自体が軽くなり、生理周期も規則正しくなる傾向があります。こうしたことから、計画的な妊娠・出産にもピルの服用が役立ちます。望まない時期には避妊し、妊活を開始するタイミングになったら服用を止めるという計画的なコントロールをスムーズに行うことができます。

ピルを長期服用するのは身体への影響がありますか?

ピルは、長期的に服用することを前提に設計されており、服用を続けることによって問題を起こすことは基本的にありません。ただし、ピルの服用とは関係なく生じた体調や体重の変化、罹患した疾患などによって服用の中止が必要になるケースもあります。そのためにも、毎年、検査を受けて状態を確認することが重要です。

ピルは何歳まで服用が可能ですか?

日本では、閉経していない49歳までの女性の服用が可能というガイドラインがあります。ただし、40歳以上になると心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患を起こすリスクが上昇し始めますので、しっかり検査を行った上で慎重な処方が必要となります。この場合もリスクと効果を十分考慮した上で選択することが重要です。

月経不順で生理開始時期が予想できません。その場合の服用開始可能なタイミングはありますか?

生理周期が乱れていて、開始時期が分からない場合には、月経を起こす治療を行った上でピルの服用を開始するという対応を行っていますのでご相談ください。

授乳中にピルの服用は可能ですか?

産後6ヶ月以上経過している場合には、問題なく服用可能です。

ピルを飲み忘れたら

1錠飲み忘れた・
服用開始が1日遅れた

緊急避妊は不要で、気付いた時点でまず1錠服用し、いつもの時間にもう1錠服用してください。翌日からは通常通りに服用しましょう。
服用再開後はその日から避妊効果を得られ、別の避妊方法は必要ありません。

2錠飲み忘れた・
開始が2日遅れた

緊急避妊は不要で、気付いた時点でまず1錠服用し、いつもの時間にもう1錠服用してください。翌日からは通常通りに服用しましょう。
服用再開後はその日から避妊効果を得られ、別の避妊方法は必要ありません。

モーニングアフターピル(ECピル) ~72時間以内で有効です~

避妊に失敗した後に妊娠を回避する目的で服用する薬です。アフターピルと呼ばれることもあります。

費用

7,700円(税込)
説明のみを受け、購入されない場合は相談料金として3,000円が必要になります。

服⽤⽅法

性交渉後に1錠を1回服用します。性交渉後、72時間以内の服用が有効とされていますが、できるだけ早めの服用をお勧めしています。

作⽤のしくみ

排卵のタイミングを遅らせる、着床を抑制することで妊娠の阻止効果が期待できます。

避妊効果

効果は100%ではないということをご理解ください。
正しく服⽤することで効果を期待できますが、服用しても妊娠する可能性があります。
また、服用後、避妊せずに性交渉を行った場合、避妊効果は期待できません。

服⽤後の身体の変化

早い場合は服用から3~4⽇後、遅くても3週間以内に、⽣理のような出⾎が生じます。これは、モーニングアフターピルの服用によって起こされた出血であり、異常ではありません。その後の生理はご自分の周期で生じます。
なお、生理が来ない、生理とは少し違う不正出血が疑われるなどの場合にはご相談ください。

副作用

稀に、一時的な悪心や吐き気・嘔吐を起こすことがあります。内服後、2時間以内に嘔吐を起こした場合、薬の成分が吸収されていない可能性があり、再度服用が必要になるケースがありますので、ご相談ください。なお、再度服用のための処方には5,500円が必要です。

月経移動

費用

月経移動には、健康保険の適用がなく、自費診療となります。
4,400円(税込)
なお、説明のみを受け、薬の処方を受けない場合も、相談料がかかります。

服用方法

早める場合は、生理3日目頃から服用を開始し、14日間ほど服用を続けてもらいます。内服を終了すると2~4日後に生理のような出血が起こります。服用は、1日1回1錠で、できるだけ同じ時間の服用が必要です。
遅らせる場合は、予定月経の5日前から服用を開始し、目標となる遅らせたい日まで服用を続けます。

注意

  • 服用は食後である必要はなく、睡眠前に行うようお勧めしています。軽い悪心などの副作用があっても就寝中であれば、気にせずに過ごすことができ、ストレスの軽減に役立ちます。
  • 服用中に出血が生じた場合も、そのまま服用を続けて頂いて問題ありません。出血が続いても通常の経血量より少量の状態の維持が期待できます。
  • 1~2錠(1日か2日)飲み忘れた場合には、気付いた時点で飲み忘れた分も服用することで効果が期待できますが、連続して2日以上飲み忘れてしまうと月経移動に失敗して通常の生理のような出血が起こる可能性が高くなります。
  • 月経移動の副作用防止目的で制吐剤、酔い止め、頭痛薬などの服用も可能です。
  • 普段、処方されている薬を服用されている場合には、同時服用が可能かどうかを必ず最初にご相談ください。
  • 服用中に海外へ行かれて時差がある場合、服用間隔が24時間以上にならないように注意する必要があり、一時的に24時間以内に2回服用することになっても問題ありません。
  • 月経移動で処方されるピルには避妊効果がありません。
  • 必ずしも食事後に服用する必要はありません。

副作用

吐き気

吐き気が生じる可能性があります。その際には、市販の吐き気止め薬を服用しても問題はありません。

嘔吐

服用後2時間以内に嘔吐してしまうと、薬の成分が十分に吸収されずに効果を得られなくなります。服用後2時間以上経過している場合には特に影響がないと考えられています。

眠気・むくみ・頭痛

眠気やむくみ、頭痛などの副作用を起こす可能性もありますが、効果が下がったり、強い症状を起こすことはありません。

奇形性

妊娠が疑われる場合は処方を行っていませんが、妊娠早期に服用した場合にも胎児の奇形性への影響はないとされています。